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Last updated: 2007.01.01 

サッカーワールドカップと温暖化問題

世界のお祭りとも言えるサッカーのドイツワールドカップが,カーボンニュートラルな大会になっているということにお気づきになっている方はどの程度おいででしょうか(http://greengoal.fifaworldcup.yahoo.net/)? ただ,ここでは別のより大きな視点から,このサッカーの祭典を考えてみましょう.

わたしは,温暖化問題は現代文明を支えているエネルギー消費と不可分の関係にあることから,文明論的な視点でとらえるべき問題だと思っています.排出権取引とは,経済活動にGHG削減を内包化する仕組みであり,その意味で文明論的問題へのメスの入れ方として,非常に重要なアプローチだと思っています.

ここでは,別の視点から温暖化問題をみてみましょう.よく,経済が成長していくことは望ましいことだ...ということが言われます.温暖化対策がその足を引っ張るべきでない,いや,排出権取引は両立させる...などというような議論も多いですね.

ここで疑問があります.経済成長は「目的」でしょうか?わたしは違うと思います.目的でなく,「手段」なのでしょう.これはエネルギー消費に関しても同じです.エネルギーを使うことは,けっして「目的」ではなく,なにか別の目的を達成するための「手段」にすぎないわけですね.

上のことは「自明」であるような気がしますが,実際は往々にして,「手段」が「目的化」してしまうことがあります(「指標」という意味でもミスリーディングかもしれません).これは本末転倒ですね.お金を儲けることやエネルギー消費が目的化することは,誤った方向性でしょう.言い換えると,本当の「目的指向」であったなら,必ずしもエネルギー消費が増えていかなければならないとは限りません.

それでは「目的」とは何でしょうか?なにかをやり遂げたときの充実感,知的好奇心の充足,芸術に触れたときの感動など,個々人それぞれで異なるでしょうが,「文化的」なものが対象となることが多いでしょう.文化的な対象や目的は,目指すべき「質」の向上は,かならずしも「量」の拡大を意味しません.

サッカーもそのひとつなのですね.無形文化です.あれだけ日本代表の試合にみなさんが一喜一憂します.日本だけではありません.どの国でもそうです.サッカーワールドカップは,「お祭り」としての側面もあるでしょう.加えて,(健全な意味での)国の一体感を体感できます.ややはずれた視点かもしれませんが,サッカーワールドカップは,代理戦争という側面もあるでしょう.人類の闘争本能を,戦争でなく,スポーツという形で昇華させた典型と言えると思います.クラブチームレベルにおいては,それが「コミュニティー」のコミュニケーションの場であり,求心力を生む部分となることもできます(これがJリーグの理念ですね.日本では高校野球もその傾向があったでしょう).

また面白いのは,ルールがシンプルであるためか,プレースタイルに国民性がかなり色濃くでるスポーツであるということも言えるでしょう.でも不思議なことに,異なったプレースタイルでも,やはり強いチームは同じくらい強いのです.強いチームが必ずしも勝つわけでないところもいいですね.

1970年メキシコ大会のペレのブラジル,1974年のドイツ大会のクライフのオランダ,1982年スペイン大会のジーコのブラジルなど,魅力に満ちあふれたチームもありました(わたしの趣味ですみません).最近では,今年の正月の高校サッカー選手権の滋賀県野洲高校のサッカーには未来を感じました(これも身びいきですみません).

サッカー選手になることは,子供たちにとっての「夢」の対象という側面もあります.発展途上国においては,貧困から自らの力で脱出するための道筋であります.余談ですが,ブラジルの有名選手は,かなり自分の出身地などの慈善活動などを行っています.

さて,サッカーに熱くなっているうちに,温暖化の話との関係を忘れかけてきました.でも,それでいいのです.自分の情熱を傾けられるものに情熱をかける.これが人間らしい生き方であり,(人生全体とは言わなくてもひとつの)目的となりうるでしょう.

わたしは,地方に根ざすということは,環境問題への重要な側面だと思っています.「内発的発展」という言葉がありますが,抽象的・概念的なその言葉の具現化のひとつに,サッカーがあるような気がしています.

みなさんも,ご自分の「目的」を,大きなものから小さなものまで,いろいろ考えてみてください.そして,それらは実現化のために,どの程度のエネルギーを必要とするでしょうか?

[この文章は,ナットソースジャパンレター 2006年7月号に寄稿したものに,少し変更を加えたものです]



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