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Last updated: 2002.09.01
Climate Experts 代表・シニアリサーチフェロー
松尾 直樹
Climate Experts (ClimeX) は,地球温暖化問題(気候変動問題)の緩和にさまざまな角度から取り組んでいこうと考えておられる 企業や政府の方々のお役に立ちたいと考えて,設立した組織です.もっとも(当面は?) わたしだけで運営することになります.企業や役所のアドバイザリーや,温暖化問題の政策(戦略)研究を おこなっていきます.
わたしのことは,詳細は自己紹介のページを参照していただく として,約10年間にわたって,特にエネルギーの側面から, この地球温暖化問題を研究してきました.そして,エネルギーの総合的シンクタンク 「(財) 日本エネルギー経済研究所(IEE)」, 環境問題の政策提言を目指す「(財) 地球環境戦略研究機関(IGES)」 を経て(「(財) 地球産業文化研究所(GISPRI)」 においても,IPCC(第 3 次評価報告書)の活動に深く関わりました),この 2002 年 9 月から独立し, Climate Experts を立ち上げることとなりました.
1992 年の気候変動枠組条約の採択(1995 年発効),1997 年の京都議定書採択, 2001 年の京都レジームのルール決定(ボン合意とマラケシュアコード)を経て,国際社会は,米国ブッシュ政権の 離脱宣言などにもかかわらず,「京都で行く!」と明確な意思表示を行いました.すでに多くの国々が批准を行い, 残るはロシアとポーランドが批准すれば発効する段階です.おそらく,2003 年には発効し,COP 9 は,COP/MOP 1 となると想定されます.
日本も,2002 年 6 月には議定書を批准,3 月の新大綱のステップ・バイ・ステップ アプローチにしたがって, おそらく 2005 年からは,かなり思い切った措置を講じてくることが予想されます(2000 年段階で基準年比 +8%).
米国の件など,今後も若干の紆余曲折はあるでしょうが,地球温暖化問題は,今後百年スケールの問題として, 強化されることはあっても,その逆は考えにくいといわざるを得ません.したがって,もはや "whether" という問題ではなく,"when" であり "how" といった問題であると言えるでしょう.
日本は,もともとその高い技術水準を持つ製造業を中心に,省エネなどの温暖化対策の「技術」面では その「水準」も「開発力」も世界に冠たるものがあります.言い換えると,温暖化関連規制が厳しくなればなるほど 「勝ち組」になれる資質を持っているはずです(これはその「高い排出削減の限界コスト」の「おかげ」と いうこともできます).
ところが,この問題に対する「関心」は強いものの,これを「新たなビジネス環境の変化」と捉え, 積極的に新たなビジネス機会を狙っている企業は,かなり少ないといわざるをえません. 特に,国際的な場において,戦略的に動いている企業は少なく,この分では,この分野においても, 欧米企業の後塵を拝さざるをえないでしょう.
実際,温暖化ビジネスや,その背景となる国際交渉などは英語で行われることが多く,ハンディキャップが 大きいことは事実でしょうが,むしろ,日本のビジネスの世界におおきくうねりとして押し寄せている 「自由競争の波」にいかに対応していくか?という範疇の問題と言うこともできましょう.
いずれにせよ,温暖化問題は,その 10 年あまりの歴史の中,かなり専門的な要素を濃くしてきました. その意味で,キャッチアップすることが難しくなってきているのも確かです.
このようなことから,このような状況を「新たなビジネス機会」と捉え,戦略的な視点から ビジネスを展開していこうとする日本企業のお手伝いをすることが,いまの自分にできる最大の貢献に なるのではないか?と考えるに至りました.
わたしは,「温暖化問題の専門家」を自認しており,この問題に関して,(国際交渉の詳細から, IPCC の科学的知見,文明・文化論,文系から理系の視点まで)かなり多角的な視点から見てきたつもりです (残念ながら,日本で10年以上,この問題に傾注してきた専門家は,かなり少なくなっています). 特に,政策措置論に関する造詣が深く,エネ研時代の炭素税・排出権取引関連の分析から,最近では 具体的な 日本の政策措置ポートフォリオ提案 を作成しています.
排出権取引の専門家としても,おそらく日本でもっとも長く携わっている人間の一人で,制度論もそうですが, 最近ではビジネスとして利用する側の戦略的視点にも力点を置いています.加えて,異なった制度(日本と欧州や米国) 下の市場をリンクさせるような点にも関心があります. CDM に関しても,ベースライン問題をはじめ,かなり多方面から問題を斬ることができると思っています.
加えて,第二期における数値目標の議論や,途上国・米国を取り込む方法などの,第一コミットメント期以降の 国際レジームの発展のあり方などに関しても,多くの斬新なアイデアを持っているつもりです.
問題は,Climate Experts には,わたしは一人しかいないということです.その意味で非力ではありますが, それでもわたしの 知識・経験・構想力などを必要としてもらえる人がありましたら,ぜひ,お声かけ頂ければさいわいです.
もうひとつ,わたしは,エネ研時代は通産省側,IGES 時代は環境省側といった形で見られ,委員会などでも そのような形でメンバーに選ばれてきたきらいがあります(IGES と GISPRI の併任のときは別でしたが). 私個人として,発言内容には一貫性があったと思っており,このような「色」をついた 立場として見られることは,わたしの好むところではありません.その意味で,今後は「役所ニュートラル」 (および企業ニュートラル)な立場を貫きたいと思っています.
今後ともよろしくお願い致します.
2002年 7 月 25 日
松尾 直樹