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Last updated: 2010.05.04
ここのところ,ネパールとバングラデシュに合計3週間ほど滞在する機会がありました(この文章もダッカで書いています).
いわゆる最貧国と呼ばれる国々ですが,民間も政府も,貧困解決に向けてがんばっています.とくに政府自身と言うよりその実施機関,そしてなにより現地の民間企業や開発NGOの熱心さが光っていました.そのなかで,彼らのうまくCDMを活用したいという期待も強いものでした.
これらの国では,国民の半分近くが電気にアクセスできていない状況の改善が非常に大きな問題で(電気の問題は教育の問題ともリンクします),アクセスできている地域でも停電や供給制限が日常茶飯事です.
農村の熱エネルギー利用も,かなり薪炭材に頼っています.写真は,かの有名なグラミン銀行の子会社でエネルギー開発を行っている グラミン・シャクティー の活動の一環である改良かまどです.エネルギー効率はかなり改良されるのですが,いかんせん,ベースラインがバイオマスですので,CDMにすることが容易ではありません(これはネパールやカンボジアなども同じような状況です).森林減少に繋がっている非再生可能バイオマスの部分をどうやって同定するか?とういう点がキーとなります.これに関しては,いま,小規模CDM WGで何か手が打たれるようですので,期待しましょう.
PEARとしては,いくつかの機関と共同で具体的なプロジェクトを通じて,プログラムCDMをツールとして貧困問題と温暖化問題,エネルギー問題などを同時に緩和していくことができそうです (プログラムCDMは40件くらいが表に出ていますが,LDCのプロジェクトが多く,またこのような貧困地域開発型も多くなっています.もっと使いやすいものにデザイン変更がなされるように,働きかけていきたいと思っています).
ここでの技術としては,バイオガスダイジェスター,改良かまど,オフグリッド太陽光発電,オフグリッドマイクロ水力などです.単純なものだけではなく,たとえば太陽光やバイオガスによるマイクロ・ユーティリティーのような取り組みなども工夫されてきています.グラミン・シャクティーなどは,独自のキャパビル・プログラムや,マイクロクレジット・スキームを動かし,ワーカブルな仕組みを構築してきています.
ところどころに,GTZ,KfWやSNVといった欧州の援助機関や開発銀行の姿が見えますが,ほとんど日本企業の姿が見えません (JICAの姿もこの分野では目立っていません).
このような貧困農村地域のエネルギー関連事業に,(CDMや自分の持つノウハウなどを活かして)係わろうという日本の企業はないのでしょうか?貧困問題の緩和という社会性,そして温暖化問題(途上国の低炭素社会構築への貢献)の二つの大きなテーマの両方に同時に寄与することができます.そのうえ,(非常に良質の)CERも得られるわけですね.
わたしのPEARは,それを自ら,また他の日本企業の橋渡しをする形で係わっていきたいと思っています.新しい形のBOP (base-of-the-pyramid)の形ですね.ご興味のある方は ご連絡 ください.
[この文章は,ナットソースジャパンレター 2010年 3月号に寄稿したものに,少し変更を加えたものです]