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Last updated: 2007.07.07
温暖化問題＝気候変動問題は，みなさんのビジネス環境に変革をもたらします．今回はそのことを，新しいビジネス機会という点から，もう一度考えてみましょう．
温暖化問題関連の規制や政府による枠組みは，徐々に厳しく，または拡大していく傾向があります．これに付随して，どのようなビジネス機会が生まれるのでしょうか？
まずは，政府や自主ベースの規制，そしてインセンティブ・フレームワークに基づくビジネスニーズがあるでしょう．
新しい動きとしては，経済産業省が「国内CDM」の枠組みを模索しています．省エネなどが進んでいない（そのインセンティブスキームも少ない）中小企業を対象とし，そこでの削減分を大企業がクレジットとして投資見合いもしくは購入という形で受け取れる制度のようです．
望むらくは，わたしのようなコンサルタントやバリデータ/ベリファイヤーが儲からない(!)制度となってもらいたいものです．それだけシンプルなものという意味です．ベースラインとして，ベンチマークの値や公式が事前に与えられているイメージです．一方で，ESCO事業者にとっては大きなビジネスチャンスとなってもらいたいですね．うまくいけば，CDMの方に逆提案できるかもしれませんし．
京都議定書の排出権を付加価値として使うようなビジネスもいろいろなものが考えられます．JBICの提案する信託を利用したプラットフォームを用いれば，CERなどの現物を小口で比較的容易に調達できると想像されます（現物ですので高価ですが）．それをどのようにビジネスに活かせるか？は，現時点ではアイデア勝負ですね．
さて，政府主導の枠組み以外に，消費者の「好み」も，動いてくる可能性があります．環境指向型の商品やサービス選択は，すでにはじまっていますが，温暖化問題の視点からも，とくに省エネ型製品や，一部には太陽光パネルなども好まれるようになってきているのはご存じの通りです．
企業相手の場合もそうですが，消費者相手の場合，とくに「提案型」でビジネス展開を考えた方がいいのではないでしょうか？まだ「白紙」に近い状態です．この白紙のキャンパスにどのようなビジネス展開をしていけばよいか，ぜひ考えてみてください．
ただ，いくつか気をつけなければならないこともあるでしょう．
実は，わたしは新しく「カーボンオフセット」に関する事業（社会企業）を興そうと考えています．カーボンオフセット事業は，調べてみると欧米にすでに30程度存在します．ところが，最近はいろいろなところで問題視されてきているケースがあるようです．関連のレポートでも取り上げられていますし，FTでも記事として挙げられています．
また，単にカーボンオフセットを提案するだけで消費者が乗ってくるでしょうか？日本では「免罪符」のような側面のあるこの商品を受け入れてもらうためには，それなりの工夫が必要であろうと思われます．
それから，「ビジネスとしての成功」を第一目的とするのか，それとも「環境の側面」を第一目的とするのか，で，アプローチは異なってくるでしょう．
わたしは，上記の点ではもちろん「環境の側面」を重視する（＝目的とする）という立場です．温暖化問題の南北問題としての視点に加え，CDM/JIプロジェクトなどのノウハウ，個々人の行動変革などのためのさまざまな仕掛けなど，わたしが温暖化やエネルギーの専門家としていままで培った知識とその応用を，ふんだんにそのオフセットプログラムに折り込み，他の何人もの専門家といっしょに，消費者に提案していくつもりです．相対比較された場合，最終的にはビジネス・オリエンテッドなものより，より環境オリエンテッドなコンセプトと理論に裏打ちされたものが消費者に選択されると思っています．
このプログラムに興味を持ち，新しい付加価値として，自らのビジネスへの組み込みを考えようとされる方は，n_matsuo@pear-carbon-offset.org までご連絡ください．コンセプトやビジネスプランをお話しいたします．どうやれば付加価値を創造していけるかどうか，ご一緒に考えましょう．
みなさんも，いろんなビジネス提案の応用例を考えてみてください．
［この文章は，ナットソースジャパンレター 2007年 6月号に寄稿したものに，少し変更を加えたものです］
